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  • 日記

うちの事務所では法人の開業届けを社員も行うようで、
そこで疑問に思ったのが、個人事業主と法人って何が違うのか?
ってことです。

どういうメリットがあり、どんなデメリットがあるのか、
個人と法人、消費税や節税の面でどちらが得?

と疑問が出てきたので、まとめてみたいと思います。

個人事業と法人の違い

◇個人事業主
一般的に自営業者とも言われる、
株式会社や合同会社等の法人を設立せずに個人的に事業を行っている人。

◇法人
法人は、個人と切り離したもので、人間以外で権利義務の主体になれるもののこと。なので、そこから生じた責任も事業主本人とは切り離して法人が負うことになる。

個人事業主のメリット&デメリット

<メリット>
・個人事業のメリットは運営(経理、税務など)の手間とコストがかからず、すぐに始められる 
 → 申告も税理士に頼らなくても本と会計ソフトを用意して頑張ればできる。

・家族に給与を支払える
 → 法人でもそうですが、個人事業主の場合でも、家族に対して一定の給料を支払うことは可能です。※青色申告にして事前に税務署に届け出る必要があるなど、多 くの制約があります。

<デメリット>
・個人が全責任を負う
 → 個人事業の場合は全責任を事業主本人が取らなくてはいけません。仮に事業に失敗して借入を返済できなくなったら、事業主個人の財産を売ってでも返す必要があります。

・融資が簡単に受けられない
 → 個人事業主の場合は、法人に比べて融資の条件が厳しくなっています。

法人のメリット&デメリット

<メリット>
・社会的信用度が高くなる
 → 法人というだけで社会的な信用度が高くなり、個人に比べれば取引相手からの信頼も得やすいです。

・金融機関からの融資を受けやすい
 → 法人の場合は資本金という一定の資力が登記簿謄本上で確認できたり、事業とプライベートの資産の区別も明確。個人に比べれば厳格な経理処理が求められるので、金融機関から見て一般的な信用度が高くなります。

・経営者に給与を支払える
 → 経営者に役員報酬を支払うことで、節税することができます。役員報酬を支払う際にも給与所得控除というみなしの必要経費も差し引くことができ、そこでも節税が可能になります。※個人事業主は自分に給料を払うことはできません

・家族に給与を支払える
 → 法人の場合は、家族に役員報酬を支払うことが可能です。これにより所得分散をして経営者の所得税、住民税を節税することができます。

・経営者の生命保険料を会社の経費にできる
 → 法人が契約者、経営者が被保険者、法人が保険金受取人という契約内容であれば、法人が支払った保険料のうち一定割合を会社の経費とすることができます。
※基本的に個人事業主の生命保険料控除のような上限金額もありません。
※個人事業主の場合、各生命保険料控除を受けれるが、限度額が低く、節税効果は限られる。

・役員社宅を借りることができる
 → 役員の居住用自宅を会社名義で借りることによって家賃の約5割程度を社宅賃料として経費にすることが可能。

・優秀な人材を集めやすい
個人事業と法人では、法人の方が社会的信用も高いことから、人材採用の際に有利になってきます。 

・赤字の繰越控除ができる
法人の場合、赤字は9年間も繰り越すことが可能です。もし大幅な赤字を計上するような場面があったとき、税務的に法人の方が圧倒的に有利です。
※個人事業の場合は、青色申告であれば赤字は3年間繰り越し可能なだけ(欠損金の繰越控除)。

・個人財産を守ることができる
もし事業に失敗した場合、個人事業の場合は個人の財産を売却してでも債務を返済する必要があります。これに対し、法人であれば債務の支払義務があるのは法
人資産の範囲内で、個人財産にまで支払義務が及ぶことはありません。

<デメリット>
・手続きが面倒
 定款の作成や登記などの手続きが必要。

・法人化の費用が25万円~30万円必要
 → 法人の場合、定款作成、定款認証、設立登記などが必要となり、費用はおおよそ25万円から30万円ほどかかります。

・会計処理・税務処理が難しい
 → 法人の場合、会計処理が難しくなり、税理士や会計士を頼る必要があります。その分コストがかかってきます。

・社会保険料コストがかかる
 → 法人の場合は、社会保険に必ず加入する必要があります。健康保険料、厚生年金保険料は約半分が
会社負担、約半分が役員従業員の個人負担です。実際には、加入していない事業所も多くありますが。。
法人側からしたらコストがかかるのでのデメリットではありますが、社員からすると国民年金に比べて厚生年金は将来の保障も手厚く、コストに見合った保障を受け取れるメリットがあります。

・交際費に税務上の制限がある
法人の場合、期末資本金と年間の交際費の金額により損金不算入(税金の計算上、経費に入れることができない)になる場合があります。個人事業は業務遂行上
必要なものについてはそのまま必要経費として計上することが可能で、法人のような制限はありません。

まとめ

個人事業と法人、それぞれのメリット・デメリットを上げてきましたが、いかがだったでしょうか?

個人事業の良い面もあれば、法人の方がいい面もあり様々ですね。

中でも個人事業と法人(会社)との一番大きな差と言えるのは、
責任の所在と限度 ではないでしょうか。

個人名義で事業を営む場合は、もし負債が出ると全ての財産(経営者名義の自宅や土地など)を手放してでも返済しなければいけませんが、

合名会社、合資会社を除く法人は、負債はあくまでその会社の負債であり、経営者が会社の連帯保証人になっているなどの事情がなければ、経営者が所有する財産手放してまで弁償する必要はありません(ただ、経営者としての責任は株主から追及されるでしょうが・・・)

負債は出したくありませんが、万が一の時は法人の方が所有している資産を手放さずに済むという

多少の安心感のようなものはありますね。

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